社長の紹介(会社概要)

DATZ GROUP -名古屋の居酒屋・DATZグループ-

★DATZの課外活動 とんでもない社員研修旅行記

■ 安藤大央(ベトナム-バンコク旅行記)

ベン・タイン市場をさらに奥に進むと、衣類や雑貨などの生活用品が置かれていた。Tシャツを見ていると一人の女の子が僕のそでを引っ張り、自分のお店の方へと誘ってくる。別の場所に移動してもさっきと同じように女の子が鉛筆やタオルを買うようにすすめてくる。同じようなことが5、6回は続いただろうか。激しい販売攻勢から逃れるように歩いてきたけれど、ふと立ち止まって辺りのお店の様子を見ると、どの女の子も10才に満たない少女である。そんな子ども達があたりまえのようにものを売ってくる。これも日本ではまず考えられない光景である。少女達は皆真剣で、時にはこちらのすげない態度に罵声を浴びせてくる少女もいた。僕はこれを見て怒るよりもまず感心してしまった。こんな小さな女の子でも物を売ることの大切さを知っている。売らなければ生活できない、生活できなくなれば生きてはいけない。そのことをこの子達は体で分かっているのだと思った。だから多少相手に嫌な顔されても負けずに売ってくるのだろう。このハングリー精神は今の僕に一番欠けているものかも知れないということを感じさせてくれた。
次の目的地、クチへ出発する前に腹ごしらえをすることにした。市場から出た所に屋台があり、ここで“フォー”を食べることにした。フォーとは米の麺を使ったベトナムのうどんのようなものである。日本のトンコツスープに近い味で、口に入れると独特の臭みが少しあった。
お腹が落ち着くとクチへと出発した。バイクからタクシーに乗り換えて約2時間、これが想像以上に遠くて、やっと到着した頃には午後4時をまわっていた。クチはベトナム戦争のさなか、かなりの激戦地だったのだという話を聞きながら林の中に案内された。草木の生い茂る緑の中に、人がやっと一人入れるぐらいの地下トンネルがあった。暗いトンネルの中に入らせてもらうと、とても狭くて身動きも取りにくく、ライトの光がなければ先などまったく見えない。かつてはこんなに細くて暗い道をつたいながらも、激しい戦争を耐え抵抗しつづけた人々がいたのだと少し重たい気持ちになった。
地下トンネルを出て林をさらに奥へと進むとなにやら怪しげな音が聞こえてきた。それは初めて耳にする本物の銃声音だった。戦争時に使われていたトンネルの先には銃の体験場、とはなんだか複雑な心境にさせるものではあったが、それより好奇心につられて僕も撃たせてもらうことにした。1ドルを払い銃を手にする。見ているのとは違い、実際に撃ってみると肩が吹っ飛びそうになるほどの衝撃。おっかない兵器に好奇心も恐怖心も十分満足してクチを後にした。
ホーチミンへ戻るとサイゴン川付近のレストランで食事をすることにした。ここでは生春巻きとガーラップという魚の料理とバインセオというお好み焼きに似た料理を選んだ。ガーラップとは雷魚のことで、アーモンドや香草と一緒に蒸してあり、タラに近い比較的さっぱりとした味だった。生春巻きやバインセオにはエビやもやしが入っている日本でもおなじみのもので、ソースにはヌクチャムという甘辛いソースやピーナッツソースが使われていた。
お腹が一杯になって眠たくなった僕はホテルに帰ることにした。しかし帰路の途中に活気のある屋台が並んでいるのが目に入ると、ツツッと足が向いた。ビールの一杯でも飲んで休憩してから帰ろうとその時は思っていたのだ。その時は。僕がそこでビールを飲み始めると、辺りで食事をしたり酒を飲んだりしていたベトナム人たちが一人、二人と集まってきて話し掛けてくる。次第に意気投合して集まってきたみんなで乾杯することになり、そこから先はすっかりお祭り騒ぎのようになっていった。服を脱ぎだす人がいればビールで体を洗う人まで登場する異様な盛り上がりの中、僕もぐいぐいビールを飲みつづけた・・・。そして気付くとホテルのベットの上にいた。前日の屋台のことがまるで記憶にない。もしやと思いポケットの中に手を伸ばすと、「!!」一万円をみごとスリ取られていたのであった。
高い酒代になったけど、まぁこういうのもアリかなと気を取り直して、この日はメコン川へと出発した。外は絶好の晴れ日和。目的地へは午後2時ごろ到着した。メコン川はサイゴン川とは比較にならないくらいスケールが大きい。その雄大さにしばし感動して川を眺めていた。そして舟を借りてメコン川下流へと進入することにした。川の水は茶色くにごっていて、水深は5〜7mぐらいあるそうだ。奥へと進むにつれてあたり一面にココナッツの木が生い茂る風景へと変化していく。船頭さんがココナッツの実を一つナタで切り取り、僕に渡してくれた。生のココナッツのジュースを飲むのは初めてだったが、メコンの流れの上で飲むジュースは甘くておいしく、満ち足りた気分にさせてくれた。そして日も暮れかけてきた頃、舟は森の中へと入っていき、そこで晩御飯を食べることとなった。七草粥のようなものを頂いたあと、お土産にココナツの器を買って上流へと戻ることにした。その帰りの川べりに僕は今までに見たことのない、感動的な景色を目にした。時間は夜の8時頃。船頭さんが舟を止めて川岸を指差している。その方向を見やると暗闇の中にキラキラと輝く森が100mぐらい続いている。舟を近づけてよく見ると、その光の正体はなんと蛍であったのだ。おそらく何千、何万匹というものすごい数だろう。途切れることのない蛍たちの幻想的な光が森をかがやかせている。僕は言葉を失い、しばらくの間その光景に吸い込まれていた。するとなぜだかわからないが自然と涙が溢れて出てきた。どうやら不意に出くわした美しさに心の底から揺さぶられてしまったようだ。癒し効果は絶大、抱えていた疲れやストレスその他あらゆるものが吹き飛んでいってしまった。 こうしてベトナム最後の夜を満喫した僕は、その贅沢な余韻に浸りながら眠りについた。